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熊本県天草市から発見された
九州最古(約1億500万年前)の翼竜化石の展示




 
発見された化石(GCM-VP460)。白い枠で囲まれた黒い部分が骨化石。

※図や写真は、別途記載がない限り(c)天草市立御所浦白亜紀資料館・福井県立恐竜博物館となっています。


経緯について 

1997年、天草市立御所浦白亜紀資料館の調査において、天草市御所浦町烏帽子南方採石場(通称「白亜紀の壁」)より、烏帽子層下部と考えられる骨化石を含む転石(GCM-VP460)を採集しました。昨年より、福井県立恐竜博物館にてマイクロフォーカスCT装置を使用した共同研究により、翼竜の骨が複数点含まれていることが判明しました。(福井県立恐竜博物館とは、平成25年より共同調査・研究を行っています。)

産出について 
天草市御所浦町の御所浦層群烏帽子層下部(白亜紀前期末アルビアン:約1億500万年前)から産出しました。烏帽子層からは、これまでに獣脚類、鳥脚類、竜脚類といった恐竜のほか、カメ、ワニ、魚類といった脊椎動物化石も多数発見されています。

特徴と同定について
CT画像による観察では、少なくとも5つの断片的な骨が岩石の約10 × 10 × 7cmの範囲に含まれていることが分かりました。骨は約20 × 12 mmの横断面をもつものや、長さ約7㎝におよぶ骨もあり、これらは同一個体のものと考えられます。全ての骨は中空で、骨の壁の厚さが1~2mmの薄い皮質骨からなり、骨の横断面は楕円形です。長い骨は翼竜の指骨(翼を支える第4指)に類似した特徴があると判明しました。なお、骨化石は汽水にすむ巻貝の化石と一緒に、岩石中に保存されていました。

AとB:CT画像から立体に復元した岩石中の翼竜化石(薄い皮質骨をカラーで表示。グレーは巻貝化石)。C:骨化石のCT画像、D:巻貝のCT画像。B、C、Dの位置はAを参照。

参考:国内における翼竜化石の記録
過去、国内では12か所から翼竜化石が発見されています。国内最古級の化石は、北陸(富山、石川、福井)と岐阜から知られる前期白亜紀の歯や足跡化石などです。後期白亜紀からは部分的な骨の化石が北海道から九州まで知られており、九州においては熊本(御船町)、長崎(長崎市)、鹿児島(長島町)から骨の化石の記録があります。今回の化石は、前期白亜紀の後期(アルビアン)から発見された化石であり、九州では最古のものとなります。


意義について
○ 今回の化石は前期白亜紀末(アルビアン)から発見された化石であり、前期白亜紀から後期白亜紀に移るころ、翼竜が国内に分布を広げていったことを示す新たな記録となります。

公開・展示について

実物化石の展示

 場 所: 天草市立御所浦白亜紀資料館(移転事務所) 
 期 間: 令和5年7月21日(金)~令和5年8月31日(木)
資料館は「天草市立御所浦恐竜の島博物館」としてリニューアル建設中(令和6年3月オープン予定)



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