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  天草市御所浦町から発見された
新種のエビやカニの仲間の化石について



モリエダエリマエビ Eryma moriedaorum (左) 

分類:十脚目 エリマエビ上科 エリマエビ科

 
ヒノクニコアカザエビ Hoploparia hinokunika (中央

分類:十脚目 アカザエビ上科 アカザエビ科

 
シラヌイガニ Bournelyreidus shiranui (右)

分類:十脚目 アサヒガニ上科 ビワガニ科
 

産出地:熊本県天草市御所浦町  地層:御所浦層群  時代:中生代白亜紀中頃(約1億年前)



 御所浦島に分布する白亜紀の浅い海や干潟でたい積した地層(御所浦層群江の口層および唐木崎層)からは時折、エビやカニなどの仲間(甲殻類、正式には十脚類)の化石が発見されます。化石採集体験ができる化石採集場や採石場跡地から利用者によって採取された貴重な化石が御所浦白亜紀資料館に多く寄贈されており、この中にはエビやカニの化石も含まれます。
 これらについて、3種の新種の化石が含まれることが岐阜県にある瑞浪市化石博物館の安藤佑介学芸員と御所浦白亜紀資料館、御所浦町の島田一良氏との共同研究で明らかとなりました。この報告を今年(2020年)に発行した「御所浦白亜紀資料館報第21号」で行っています。
 これまで御所浦白亜紀資料館で収蔵されている御所浦層群のエビやカニ化石の多くについて詳しい分類学的検討がなされていませんでしたが、調査研究のため何度も天草に訪れている安藤学芸員がこれまで知られていない種が含まれることに気づき、研究を進めてきました。

【化石の意義】


  • 御所浦層群産の十脚類化石について、新たにエビ2種とカニ1種の新種が含まれる事が判明した。
  • モリエダエリマエビは、長い額角と甲の後部に存在する非常に浅く細い鰓心溝によって特徴づけられる。
  • ヒノクニコアカザエビは、頸域と肝域に小棘を有する点とオメガ隆起がよく膨らむ点で同属の他種と区別されます。
  • シラヌイガニは、眼窩外棘よりも短い額角により特徴づけられ。
  • エリマエビ属は、古生代ペルム紀〜白亜紀前期の地層から報告されていたが、初めて白亜紀後期の地層から報告され、本属は白亜紀後期まで生存していたことが明らかになった。また本報告がエリマエビ属の最も新しい記録である。
  • コアカザエビの仲間は、これまで北海道、群馬県、和歌山県、兵庫県の白亜紀の地層からも見つかっていたが、御所浦層群産の種はこれらのどれとも異なる特徴を有していた。また、世界中の中生代の地層からこれまで66種が報告されていたが(2020年3月31日時点)、本種の報告により67種となった。
  • 御所浦島分布する御所浦層群から発見され、それぞれ、御所浦を訪れる研究者や学生を多く受け入れている民宿のご主人であった人で、御所浦ジオツーリズムガイドとして貢献された故・森枝三千尋氏、熊本県の別名「火の国」、御所浦を囲む八代海で有名な「不知火」に因んだ名前である。
  • これらの化石の多くは、化石採集場等での体験によって一般の方が採取されたもので、化石採集場の利用者の理解と協力が御所浦地域の化石や地質の研究に大きな貢献をしていることを示すものである。



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