> 白亜紀資料館HPトップ

  熊本県天草市の新たな大型肉食恐竜化石について



 
新たな大型肉食恐竜の歯化石


 
歯化石の断面図




【参考画像】白亜紀後期カンパニアンのティラノサウルス科の一種、ゴルゴサウルス
(画像提供:山本 匠)
※歯化石の写真は、(c)天草市立御所浦白亜紀資料館・福井県立恐竜博物館となっています。


経緯について 

平成26年10月に行った御所浦白亜紀資料館と福井県立恐竜博物館との共同調査の際、天草市天草町の海岸の転石から化石が発見されました。(福井県立恐竜博物館とは、平成25年より共同調査を行っています。)その後、調査・研究を進めた結果、大型肉食恐竜の歯化石であることが明らかとなり、熊本の姫浦層群から確かな獣脚類の化石が発見されたことが判明しましたので、平成29年7月5日に天草市役所本館において福井県立恐竜博物館と合同で発表を行いました。

産出について 
天草市天草町に分布する姫浦層群(白亜紀後期・カンパニアン中期:約8000万年前)から産出しました。姫浦層群からは、1997年にも、高知大学の研究グループによって河浦町と天草町で姫浦層群初の恐竜化石となる植物食恐竜の化石(竜脚類の歯、鳥脚類の足跡化石)が発見されています。

特徴と同定について
化石は歯冠部分のみで、高さ(長さ)42mm、幅25mm、厚さ16mmであり、母岩に残された印象の痕跡から歯は高さ56mm以上もあったことが判明しています。歯の前後の縁に獣脚類の特徴となる鋸歯(きょし)があり、先端から基部へと向かう鋸歯列の方向などから、歯は左上顎ないし右下顎の歯と考えられます。
一般に歯の化石のみで獣脚類の種類や大きさを特定することは困難ですが、ふくらみのある楕円形の歯の水平断面はティラノサウルス科の特徴に類似し、全長7mを超える大型獣脚類のものと推定されます。

(参考:国内における肉食性の獣脚類化石と熊本の特色)
肉食性の獣脚類化石は岩手、福島、群馬、富山、石川、岐阜、福井、和歌山、兵庫、福岡、熊本(御船町と天草市)、長崎、鹿児島の白亜紀の地層から広く発見されています。このうち、ティラノサウルス科の記録が知られる白亜紀カンパニアン以降(約8360万年以降)のものは、熊本県天草市と鹿児島県薩摩川内市に分布する姫浦層群、および長崎市の三ツ瀬層(みつせそう)から産出したものです。姫浦層群初の獣脚類化石(歯と肋骨/2008年)は鹿児島県薩摩川内市下甑島から発見され、長崎市の三ツ瀬層からは2013年以降に複数種の獣脚類の歯が発見され、ティラノサウルス科の歯(2014年)も発見されています。熊本県側の姫浦層群からは今回が確実な獣脚類の化石となりますが(2012年に上天草市から獣脚類の可能性がある指の骨の一部が報告されている)、熊本ではより古い御所浦層群(約1億年前:天草市)そして御船層群(約9000万年前:御船町)の時代にも種類の異なる大型獣脚類の化石記録があり、新しい化石はこれらの時代を通じて熊本に多様な大型獣脚類が生息しつづけていたことを裏付ける資料となります。

(参考:九州西部における白亜紀後期カンパニアンの恐竜化石)
熊本県の天草市御所浦(御所浦層群:約1億年前)、および御船町(御船層群:約9000万年前)では、白亜紀前期の末から後期の前半にかけての恐竜化石産出が良く知られていますが、近年ではより新しい時代の恐竜化石が九州西部から報告されています。天草市天草町から河浦町にかけては竜脚類(歯)と鳥脚類(足跡)の化石が、鹿児島県薩摩川内市下甑島からは獣脚類(歯と肋骨)、竜脚類(歯)、角竜類(歯根の一部)の化石が、さらに長崎市の三ツ瀬層からは小型から大型の獣脚類(歯)、ハドロサウルス科の鳥脚類化石(大腿骨の一部)、鎧竜(歯)の化石が知られており、これらは全てカンパニアンという時代のものです。

意義について
○ 熊本の姫浦層群から確かな獣脚類の化石の産出です。姫浦層群初の大型獣脚類の化石となります。
○ ティラノサウルス科の歯化石の持つ特徴に類似しています。(種類の特定には追加資料が必要です)
○ 御所浦層群(約1億年前)、御船層群(約9000万年前)と、これらの時代を通じて熊本に多様な大型獣脚類が生息していた資料となります。
○ 九州では、鹿児島県や長崎県から大型の獣脚類の報告がありますが、これらの例のように、姫浦層群から白亜紀後期カンパニアンの恐竜の多様性を示す追加資料が見込まれます。

公開について

実物化石

 場 所: 天草市立御所浦白亜紀資料館 
 期 間: 平成29年7月15日(土)〜平成29年9月3日(日)
      ※開館20周年記念特別展「恐竜展 ―トリケラトプスの仲間とその進化―」も開催しています。詳しくはこちらへ。


レプリカ

 場 所: 福井県立恐竜博物館 
 期 間: 平成29年7月15日(土)〜平成29年10月15日(日)



> 白亜紀資料館HPトップ