> 白亜紀資料館HPトップ

  熊本県天草市から発見されたシャコ類の大顎化石



発見されたシャコ類の大顎(たいがく)の化石
(スケールは2mm)
※シャコ類の大顎化石としては日本初のものです。

 熊本県天草市五和町(天草下島に位置する)に分布する第四紀更新世(約24万年前)の地層(小串層)から珍しいシャコ類の大顎(たいがく)化石が見つかりました。小串層からは、これまでに貝や貝形虫をはじめとする化石が見つかっており、地元の天草市立御所浦白亜紀資料館が継続的に調査を行っていました。2012年3月に瑞浪市化石博物館と天草市立御所浦白亜紀資料館が共同調査中に、現地でオレンジ色に光る化石を岩石中から発見しました。当初は何の化石なのか不明でしたが、研究の結果、シャコ類の大顎(人間の歯にあたる)であることが判明しました。さらに、2013年2月に調査を行い、追加の大顎化石や指節(ハサミの先端)化石も得られました。
 シャコ類の現生種は、世界中で512種が確認されており(日本周辺には約60種が生息)、シャコ類の化石は、世界中で63種が報告されていますが(日本からはこれまでに2種)、通常は甲殻や指節、尾扇が見つかる程度で、大顎の化石はこれまで世界で3例がアメリカ、ドイツ、ベルギーから報告されているのみでした。したがって、この化石を報告することはシャコ類の進化変遷を研究する上で大変意義があります。発見した大顎化石はシャコ類のどの種に当たるかまでは分かりませんでしたが、大きさや形は日本近海に生息する寿司ネタとしておなじみのシャコに似ています。そのため比較的私たちの生活になじみのある化石の発見といえます。
 また、現在天草諸島周辺では、御所浦島が日本ジオパーク(地質的に見て重要な自然遺産を含む公園)に登録されており、将来的には天草諸島全域をジオパーク化する計画が進んでいます。この発見によって小串層が地元の方々だけでなく全国の方から注目されれば、天草下島地質学的価値が高まることにつながり、この点からも意義のある発見といえるでしょう。
 この報告は、2013年1月に横浜国立大学で開催された日本古生物学会で一部発表し、「Unusual preservation of fossil mantis shrimp (Stomatopoda): occurrence of mandibles from the Pleistocene Ogushi Formation, Kyusyu, Japan (九州の更新統小串層から例外的な保存状態で産出したシャコ類の大顎化石) 安藤佑介・鵜飼宏明・河野重範・廣瀬浩司・中谷大輔・黒須弘美・柄沢宏明」の表題の論文が7月19日に出版されたニュージーランドの国際学術誌Zootaxa(ズータクサ)に掲載されました。


文章:瑞浪市化石博物館 安藤佑介
(一部改変)




化石の発見地


 

  
現生のシャコ(左は背面、右は腹面)
 


現生のシャコの大顎(たいがく)


 


現生のシャコの大顎(拡大)



> 白亜紀資料館HPトップ