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天草市御所浦町横浦島から発見されたアジア最古の大型裂歯類化石について

2023/09/11(月)

トロゴサス亜科の歯化石(GCM-VP179)

【参考画像】トロゴサス(復元イラスト:徳川広和 氏)

天草市御所浦町横浦島に分布する約5000万年前の弥勒層群赤崎層(みろくそうぐん・あかさきそう)から平成12年に発見された歯の化石について、御所浦白亜紀資料館と福井県立恐竜博物館の共同研究により、大型の裂歯目(トロゴサス亜科)の切歯と判明しました。非常に稀な絶滅哺乳類の化石であり、同亜科の化石としてはアジアで最古のものとなります。

※この化石の初の展示公開を、地元の方や小中学生に見学していただこうと御所浦北地区コミュニティセンター(令和5年9月14日~令和5年9月22日に展示、土日曜・祝日は休館)や御所浦小学校、御所浦中学校で9月〜10月にかけて巡回で行います。(小・中学校の展示は一般の方は見学できません。)


【経緯と意義】 
平成12年3月、御所浦白亜紀資料館が天草市御所浦町横浦島で行った調査で、新生代古第三紀前期始新世の弥勒層群赤崎層(約5000万年前)から、歯の化石1点が発見されました。化石は部分的なもので、硬い石灰質の岩石中にあったため、化石の剖出作業と鑑定は遅れましたが、御所浦白亜紀資料館と福井県立恐竜博物館による共同研究を進めた結果、化石は裂歯目(絶滅哺乳類)の大型のグループである、トロゴサス亜科の第二切歯であることが判明しました。
トロゴサス亜科の裂歯類はアジア(中国、日本)、北米(カナダ、アメリカ)のみから知られる、上下の顎に長い切歯をもつ草食性の哺乳類で、アジアが起源と考えられています。今回の化石は、国内最古級の大型哺乳類化石でもあり、アジアのトロゴサス亜科の化石としては最古のものとなります(中国から6点、日本からは熊本県赤崎層産の5点のみ)。裂歯類がアジアで大型化し、多様化する初期の重要な資料であり、研究の結果は令和4年に御所浦白亜紀資料館報第23号で報告済みです。

【今回特別展示する化石】
今回初めて一般に展示公開します。なお展示ではアメリカのトロゴサスや、熊本のヒゴテリウム(すべてトロゴサス亜科の化石)のレプリカと共に紹介します。

【その他】
令和6年3月オープンの「天草市立御所浦恐竜の島博物館」では、常設展示を行う予定です。
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